ハイパーバイザーとは仮想マシン(VM:Virtual Machine)の作成と実行を担う制御プログラムです。
自動車の次世代車載ネットワーク構成がドメイン型、ゾーン型に移行されていく中で、増えすぎたECUを統合しようという動きがあります。統合化においては、資源管理、機能安全対応、リアルタイム性、等価性など様々な課題が出てきていますが、そこに仮想化技術のハイパーバイザーが使われようとしています。
ハイパーバイザー技術は、OSアップグレードやバージョンアップ、既存のソフトウェア資産の転用、ハードウェア統一によるコストダウンなどのメリットが見込まれています。
サニー技研、主な開発実績
- TOPPERSプロジェクト 車載制御向けハイパーバイザー SafeG-AUTO開発に参画
- ハイパーバイザー機能配置検討
- 仮想CAN通信モジュール開発
車載制御系ハイパーバイザー技術の課題
車載制御系のハイパーバイザーでは検討が必要な課題があります。
◆ハイパーバイザーおよびVMの起動周期
- ハイパーバイザーとVMの起動周期をどうやって決定するか
- 何msで起動すればVMの動作が保証できるか
- システム全体の周期はどうするのか
◆割込み
- ハイパーバイザー割込みを使用する場合、全体の起動周期が遅延する
- VM割込みを使用する場合、該当VMが起動していなければ割込み応答時間が伸びる
◆リソース(CANやタイマなど)の管理方法
- ハイパーバイザーで管理するのか、専用のVMから管理するのか
- ハイパーバイザーで管理する場合、処理時間が膨大になる可能性がある
- VMでは暴走時の復帰方法や他VMからのアクセス方法などを検討する必要がある
株式会社サニー技研では、TOPPERSプロジェクトから公開されている車載制御システムの統合(ECU統合)のためのハイパーバイザーSafeG-AUTOの開発に参画し、車載制御向けハイパーバイザーの知見を蓄えてきました。また、車載制御向けハイパーバイザーSafeG-Autoのサンプルソフトウェアを TOPPERS Contributed Software として公開しています。
車載制御向けハイパーバイザーを動作させるためには、ハイパフォーマンスなマイコン、SoCを用いる必要がありますが、SafeG-Auto に対応したサンプルソフトウェアが動作する開発環境として、サニー技研からRH850/U2A ボード《S810-GPX-U2A》を販売しています。本ボードは、ルネサスエレクトロニクス RH850/U2A マイコンを搭載しており、SafeG-Auto を用いたアプリケーション開発や評価環境のリファレンスボードとしてご使用いただけます。
サニー技研では、お客様のマイコン及びアプリケーションソフトウェア開発の立ち上げをサポートする開発支援サービスを提供しています。
車載ハイパーバイザーデモ動画
2020年度第2回ASIFスキルアップセミナーにて、RH850/U2Aを用いたハイパーバイザーデモを実施しました。本講演でご紹介したデモ動画を公開しています。